藍鼠

@ainz_fav
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No.3013
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吸血下手くそこはねちゃん として書いてたやつの没バージョン(たぶん)が出てきたんだけど、読み返してこれは別の短編にできるのでは?ってことでちょっとネタメモとして残しておく

彰人くんがお休みの日にサッカー部の助っ人してる(進級前)ところへ、杏ちゃんがこはねちゃん連れてきたとこまで
パラレル要素はない。彰←こはでこはねちゃんの気持ちはバレてる
書いてたときのことを覚えてないけど、読み返した感じ彰人くんは察してた
#彰こは


***

「彰人ー! 休憩だってさー!」
「おー」

 トン、と蹴り上げたボールを受け止めてボールかごへ放り投げた彰人は、突然横から突き出されたタオルに驚きながらのけぞった。
 彰人へタオルを向けてくるこの人は、確か二年生のマネージャーだったはず。

「東雲くん、今日は助っ人ありがとう! これ! 使ってください!」
「……ありがとうございます。でも自分の持ってるので大丈夫です。気持ちだけもらっておきますね」

 笑顔で穏やかに断りを入れ、彰人はタオルを頭にかぶせつつベンチへと座り込んだ。
 休日ではあるものの、本日の彰人はサッカー部の助っ人として学校へ駆り出されている。他校との試合に向けたシミュレーションがしたいだとかで、対戦相手として練習に参加していた。
 助っ人を頼まれた時点で即OKを出したのは、最近やたらと頭を使うことが多かったからだ。思いきり身体を動かしたい気分だった。
 
 ──東雲くん。
 
「うお!? な、なんだよ彰人、急に振り向くなよな……」
「……悪い」

 こはねに呼ばれたような気がしたのだが、休日とはいえここは神高なのだから彼女がいるはずもない。幻聴とは──気にしすぎていよいよヤバいレベルに達している。

「なあ、ファンサはしねえの?」
「は?」

 ちょいちょい、とフェンスの外を指されたことで意識すると、ギャラリーの姿がちらほら見える。ファンサと言われたところで、今まで助っ人中にそんなことをした覚えはないし、ここはステージの上でもない。そんなことをする気力は湧かなかった。

「おーい、彰人ー!」

 ガヤガヤと賑やかしになっていたギャラリーをものともせず、通りの良い声に呼ばれる。彰人は歪みそうになった表情をタオルで隠し、なんでいるんだ、と口から出かかった言葉を飲み込んだ。
 白石じゃん、と傍らの友人が先に動くのを視界の端に捉えながら、渋々腰を上げてあとを追う。杏のことだから、彰人が動くまでは呼ばれ続けそうだったからだ。

「補修か?」
「ちょっと! 第一声がそれってどうなの!? それよりほら! こはね可愛くない!?」
「なんの話――」
「あ、杏ちゃん……」
「……は?」

 神高の制服を着ているが、杏にぴたりとくっついて隠れるように縮こまっているのは、間違いなくこはねだった。
畳む

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