Vischio

Unlimited Desires

≫異世界





さあご主人様 願いをどうぞ

──それは幼い頃に読み聞いた、異国の童話。

魔神が叶えられる願いは3つ。
──ただし叶えられないものもある。

一つ、永続的に願いを叶えること
一つ、人を殺すこと
一つ、死人を蘇らせること
一つ、人の心を操ること

それは禁忌だと彼は言う。

では逆にそれ以外なら──?

『ぐっちゃんだったらなにをおねがいする?』
ページを捲りつつ尋ねておきながら、オレの返事なんて待たずに瞳は先を読み進める。

──一般人だった男はこれ以上ないほどの幸福を、魔神は自由を手に入れて、話の結末はお決まりのハッピーエンド。

あり得ない夢物語とわかっていながら、心の内で考えた。

──なにをおねがいする?──

そうだな、オレだったら……

「………………」

朝一番、随分と古い夢を見たものだと苦笑が漏れる。
願いを叶える魔神、幸福を手に入れた主人公────砂漠の国の御伽噺。

「どーかしてる」
「なにが?」

返ってくるとは思わなかった声が聞こえる。
きょとんと首を傾げて、蒼い双眸で覗き込んでくるのは──

…………。
………………落ち着け。
ここはオレの部屋で、オレのベッドだ。
ついでに言えばコレらは瞳のもんでもある。
だからここに瞳がいるのは当然。普通なんだ。いい加減慣れろ。

「?」

ふう、と息を吐き出したオレを更に不思議そうな表情で見てくる瞳は、未だにオレの返答を待っているようだった。
くしゃりと自分の髪を掻き上げてなんでもないと言えば、納得いかないのか眉をひそめる。

「……昔の夢見ただけだ」

返答を得るまでは退かない、とでも言いたげな態度に、苦笑しながら仕方なしに答える。

「? おもしろい夢?」






タイトルまで決まっていながら、書く気がなくなったもの。
同衾してるってことは、結婚後なんじゃないかと思います(適当)


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