≫分岐点は「変なぐっちゃん」の辺りです(中盤?)
「あ、そういえばね、運にーちゃんから手紙来てたわよ」
「!」
そうだ。なんで思い付かなかったんだ。
この際参考になりそうな意見ならなんでもいい。
それが例え憎たらしい相手でも、ないよりマシってもんだ。
「瞳、オレちょっとリーテ行ってくるな」
「え? なんで急に……ぐっちゃんだけ?」
「悪ぃ、今度一緒にいこーぜ」
ずるい、と唇を尖らせる瞳に笑ってキスをして、軽く頭を撫でた。
「……ずるい」
ほんのり頬を染めて、不機嫌そうな顔のまま。
「早く帰って来てね」
……お前、無意識でそれは反則だろ。
出かけるのを躊躇いそうになって、急いで考えを振り払う。
さっさと行って帰ってこよう。
◇◇◇
「はぁ、世継ぎ、ですか……」
「…………」
「……君も中々図太いですよねぇ、一応僕は君のライバルなんですけど」
「元、だろ」
笑顔を張り付けた相手に負けじと表面だけで笑う。
しばしの無言のやり取りの後、ローゼンライトはさも名案だとでも言うように手を打った。
「瞳ちゃんに直接聞いてみたらいいじゃないですか。世継ぎを産んでくれませんか、と」
「あのな、それができてたらこんなとこまで来るかよ」
「酷い言い草ですね。紅蓮君、君が言えないのなら僕が言いますよ」
…………何を言い出すんだ突然。
すっげーやな予感すんだけど、気のせいじゃねーよな、きっと。
「瞳ちゃんが了承したら、別れてくださいね」
それは、つまり……
「お前の為かよ! ふざけんな!」
「嫌ですね、ふざけてませんよ? 本気に決まってるじゃないですか」
「余計悪いっつーの! くそッ……やっぱ来るんじゃなかったぜ」
出された茶に手を付けることもなく、オレは席を立った。
完璧に無駄足だ、時間と労力を無駄にした。
運にーちゃん相手だとぐっちゃん酸欠になりそう。運は常に笑顔のイメージがあります。
しあわせ家族計画?没ver.
マーメイドプリズム
856文字 / 2008.05.13up
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