Vischio

日常のヒトコマ

珍しく目覚まし時計よりも先に目が覚めた。
私は腕を伸ばして、そっとアラームのスイッチを切る。

静かに秒針が動くのをぼんやりと眺めながら、もぞりと深く布団に潜った。
もうすぐ、アラームのなる時間。

あと2分、1分、30秒。

──当然、うるさいベルの音は鳴らない。
それでも私は布団の中から動かずに、時計からは目を逸らした。
朝練に遅れるなぁ、なんて考えが頭の隅を掠めるけど。でも、大丈夫。

だって、今日もほら……

「おい瞳、いつまで寝てんだよ。そろそろ起きねーと遅刻だぞ?」

扉を開けて、私だけの目覚まし時計が時間を教えてくれるから。

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