珍しく目覚まし時計よりも先に目が覚めた。
私は腕を伸ばして、そっとアラームのスイッチを切る。
静かに秒針が動くのをぼんやりと眺めながら、もぞりと深く布団に潜った。
もうすぐ、アラームのなる時間。
あと2分、1分、30秒。
──当然、うるさいベルの音は鳴らない。
それでも私は布団の中から動かずに、時計からは目を逸らした。
朝練に遅れるなぁ、なんて考えが頭の隅を掠めるけど。でも、大丈夫。
だって、今日もほら……
「おい瞳、いつまで寝てんだよ。そろそろ起きねーと遅刻だぞ?」
扉を開けて、私だけの目覚まし時計が時間を教えてくれるから。
日常のヒトコマ
マーメイドプリズム 短編
310文字 / 2007.04.20up
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