▼名前のあとに立花先輩が来た
「――藤内」
ポン、と頭に手を置かれて、身体がビクッと震えた。
慌てて起き上がると立花先輩が「寝ていたのか?」と笑って僕を見下ろしている。
いつの間に来たんだろう。
ぼうっとする僕をよそに、立花先輩は室内を移動して物入れにたどり着くと生首フィギュアやら宝禄火矢(いつのまに溜め込んだんだ?)やら首桶なんかを取り出す。
「あの、何を…?」
「会計委員を黙らせにな」
問いかけに対する立花先輩のにっこり笑顔に背筋がゾッとした。
「今は名前が奮闘しているが……そういえば、発破をかけたのは藤内か?」
「え?」
苗字先輩の名前にドキリとしながら聞き返せば、立花先輩は「名前が張り切る理由なんて高が知れてる」と言いながらくすりと笑った。
嬉しいと思うのに、同じくらいなんだかモヤッとする。なんで僕は立花先輩にこんな微妙な気持ちになってるんだろう。
▼数馬友情出演
「数馬……おれ、変な病気かもしれない」
明日の予習をしながら洩らせば、数馬はぎょっと目を見開いて動かしていた手を止めた。
筆の先からじわじわ広がっていく墨に「そろそろ筆上げたほうがいいよ」と忠告してから自分の手元を見る。これじゃあ数馬のこと言えないな。
溜息をつきながら駄目になった紙を避ける。
「な、なんで?藤内具合悪いの?」
「……心臓が痛い」
「えええええ!?それ医務室行ったほうがいいよ!」
「今は痛くないんだ」
え?と首をかしげて僕を見る数馬にもやもやを吐き出したら、ふふ、と笑われた。
「なんだよ」
「いや、どうしてわかんないのかわかんないなあって」
「数馬はわかるの?」
「たぶん。でも藤内が自分で気付かないと意味ないから教えない」
珍しく意地悪だなと思いながらムッとしたら益々楽しそうに笑われて、無理やり話を変えた。
夢主の不機嫌の理由=会計委員長にボロ負け…だったのですが入れなくてもいいかな+なんかややこしくなりそうだからカット。
好きになってもいいですか
豆腐部屋
877文字 / 2011.12.01up
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