※竹谷視点
金槌片手にぶっ壊れた小屋の修理をしていたら、のんびりとした足取りで名前が近づいてくるのが見えた。
「おはよー…みんな元気だねぇ…」
力の抜けきったあいさつとそれに答えるような動物の鳴き声。
やかましい程のそれに混じって、きゃあ、と珍しく(って言ったら怒るだろうか)女らしい悲鳴が聞こえた。
立ち上がって声の方を見ると、複数の犬と猫とにもみくちゃにされて名前が埋まっている。
隙間から覗くひらひら振られる手を掴み、引っ張りあげた。
「あれ、竹谷?」
「気づいて手振ったんじゃねぇの?」
「誰かいるなー、くらい。ありがと」
「どういたしまして。今ここ壊れやすいから気をつけろよ」
「うん…………ごめん、ね」
修理を再開させるためにしゃがんだ俺の背後から、小さい声で謝罪が降ってきた。
振り返れば俺が持つ金槌をチラチラ見る名前に、ひく、と顔が引きつった。
俺の様子に何かを感じ取ったのか、名前は愛想笑いを浮かべて一歩下がる。その足元に猫が一匹近づいて、スルリと尾を巻きつけるのが視界の端に映った。
「あの、ここまで酷いとは思わなくて……ほんっとごめん!!」
説教くらいで勘弁して、と続けながら、パンと両手を合わせる名前がきつく目を瞑る。
昨夜言い逃した文句を今度こそ言ってやるつもりだったのに。
片目を開けて俺をチラッと伺う様子で一気に毒気が抜かれてしまった。
「お前に迷惑かけられんのは慣れた」
溜息を吐き出しながらいつもの調子で返すと、何か言いたそうな顔をする。
一応は遠慮してるのか(らしくねーけど)、ぐっと耐える名前につい笑った。
「名前、“体験ツアー”楽しみにしとけ」
「えー…」
どこの委員会も自分たちでやりくりしてそう
体育委員会(8)の朝if
豆腐部屋
787文字 / 2011.02.04up
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