カラクリピエロ

お菓子をくれなきゃ…の段


名前、悪戯させろ」

前置きも何も無く、ただ思いついたから、くらいの軽さで三郎が口にする。
当然、私の答えは「いやです」以外ありえない。

「知らないのか、今日は悪戯してもいい日なんだぞ」
「そんな三郎に都合のいい日があるわけないでしょう」

ちっちっち、とやけに楽しそうに指を振る三郎が手のひらを上に向けて、私の前に出した。

「悪戯されたくなければ菓子を寄越せ」
「? お菓子あげればいいの?」
「…………チッ、持ってるのか?」

隠そうともしない舌打ちをする三郎を睨みながら、懐を探ってみる。
たしかこの辺にあったはず――




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