カラクリピエロ

可愛いわがまま(8)

※久々知視点





ぐっと名前を押し倒す。
驚き混じりの声を聞きながら、右手は彼女の装束の襟元を掴み、上着をはだけさせた。

「へ…へいす…、んっ、」

指先で黒い内着をずらし、新たに露出した肌に口づけて今度こそ痕を残す。
耳朶をくすぐる甘い声に煽られて、出来たばかりの痕を舌でなぞった。

ぴくりと跳ねる名前の唇を塞ぎ、全然飽きないなと、どこかずれたことを考える。
何度触れ合っても柔らかく、伝わる熱が心地いい。名前の反応は可愛いくて、いつだって俺を夢中にさせる。

「待っ…、ぁ、ん…、兵、す…」
「…ん?」

息継ぎの合間を縫って言葉を紡ごうとしていた名前は、間に手のひらを挟んで俺の動きを止めた。
生理的な涙を浮かべ、肩で息をしながら口をパクパク動かす。

どうやら“なんでいきなりこんなことになったのか”が聞きたいらしいと受け取って、やんわり彼女の手を外し、微笑んで見せた。

「……名前が俺の弱点を突いたから」
「!?」
「責任とってくれるよな」

無意識なのか、名前は戸惑った目で俺を見たまま、俺が乱して崩れたままの装束を直そうとしている。
視界の端に映っていたそれをチラと確認して、さりげなく袖口を押さえることで邪魔をした。

「…名前に触りたい」

かあ、と顔を赤くしながら片手の甲を口に当てる名前に、また心臓がドクンと音を立てる。
僅かに瞼を伏せ、まつ毛を震わせて迷う様子を見せた後、彼女の両脇についたままだった俺の腕に触れた。

「……さ、先に…、キス、して」

羞恥のためか、瞳を潤ませて掠れた声でそんなお願いをしてくる名前から目が離せない。

――くらりと…目眩がした。

色の成績が悪いって嘘だろう。
ぐらぐらする頭で考えながら、身を屈めて遠慮なく唇を吸った。

「ん、ん…」

くぐもった声をあげ、俺の制服を掴む彼女に口づけたまま手を滑らせる。
名前が動いたからか、余計に乱れている上着を開いて、そっと胸に手を這わせた。
びくっと跳ねながらの名前の声は、残念ながら俺が飲み込んでしまったせいであまり聞こえなかった。

身体をずらし、黒い内着越しに胸元へ唇を落とす。
名前の心臓がドクドク激しく動いているのがわかって、連動するように俺の心音も速くなった。

「っ、へ…すけ、くん」
「…ドキドキしてるな」
「そ…んな……当たりま、あっ!?」

内着の下へ手を滑り込ませ、外側から寄せるように揉むと名前の胸は柔軟に形を変え、俺の指を沈ませる。
驚くほど柔らかいのに、指を離せばすぐに元に戻る不思議な弾力性。

「は…ッ、あっ…ん、ぅ…」

ふにふにと伝わってくる柔らかさと名前から聞こえる嬌声が気持ちよくて、何度も指を動かした。

「――名前、それ苦しいだろ」
「…………っ、ふ…」

涙目で微かに首を振って見せる名前は、さっきから両手で口を覆って声を堪えている。
呼吸が乱れてるのは快楽のせいだけじゃないはずなのに……というか、単純に俺が名前の声を聞きたい。

乳房全体を包むように揉んでいた手をとめて、すすっと指を滑らせる。
胸の頂きを掠めた途端、断続的にぴくぴく震えていた名前が大きく跳ねた。

「ひぁ!?あっ、あっ、」

反射的に彼女の口から離れて彷徨う右手を掴み、指を絡めて握る。
顔を覗き込んで涙の浮く目尻に口づけながら、硬くなっている乳首を指で押しつぶした。

「んっ、ぁ…っ、やぁ…!」

ビクンと震えて、いやいやをするように首を振る名前が空いていた手で俺の肩を掴む。
繋いでいる手はきつく握られて、必死で快楽から逃げようとしているように見えた。

優しく胸を揉みながら、先端は親指の腹を使って撫で擦り、時折きゅっと摘まむ。
名前は指先の動きを変える度に身体を震わせて、嬌声をあげた。

「……、今日は特に敏感な気がする」
「そん、な……ッ…ぁ…わ…かんな…、っ、」

なにげなく感想を漏らした俺に、名前は啼き声混じりで首を振る。しれずごくりと喉が鳴り、胸の頂きを摘まむ指先に力を入れた。

「ん…やっ、ぁ、あっ、あ…ぅ、や、だ……へ…すけく……、ん、んー!」
「……は…っ、……酒か?」

思考を飛ばしそうになりながら、乱れる名前に口づけて、微かに残る味で彼女がより敏感になっている原因に思い至る。
正直忘れかけていたけど、酒が入っていると感じやすいものなんだろうか。

俺が散々いじったせいか、ピンと立ち上がった乳首に吸いつくと名前が跳ねて背中を浮かせた。

「ひゃっ、あ、あぁん!」
「…気持ちいい?」
「や、ぁっ、しゃべ…な…ぃで…」
「わかった」

小刻みに震えて、啼きながら訴えてくる名前に頷く。
言葉の代わりにやわやわと胸を揉み上げたり、舐めたり吸ったりを繰り返した。

「ちが、ぁ……んっ、くっ……んん!」

名前の胸は俺の唾液で濡れ、先端が時折光を反射しているのがとてもいやらしい。
主張するそれに軽く歯を立てて、何度も甘噛みながら舌先でくすぐる。
もう片方は手のひらと指先で捏ねるようにしながら揉んだ。

「ふ、ぁ…あっ…だ…め、おね、が…も…はなしてっ……、あっ、あ!やあぁあああぁっ!」

ちゅう、と吸った直後に名前は一際大きく声を上げ、びくびく痙攣したあと、くたりと力を抜いて動かなくなってしまった。

「…………、名前?」

呼びかけても、かえってくるのは荒い呼吸音。
繋いだままだった手を握ってみても、指先が微かに動いただけで握り返してこない。

「……さすがに…やりすぎたか?」

独りごちてみても、答えが返ってくるはずもなく――俺の燻った熱は厠で処理という悲惨な結果に終わった。

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