カラクリピエロ

質問全文久々知君／自分の彼女で一番きゅんときた仕草は何ですか？畳む

久々知「──名前の仕草？」

鉢屋「聞きたくないけど聞いてやるから簡潔に答えろ」

久々知「なんでそんなにえらそうなんだ……一番なんて決められない。これでいいか？」

鉢屋「それだと常にキュンキュンしっぱなしってことになるだろうが」

久々知「そうだけど？」

鉢屋「………………勘右衛門、代わってくれ」

尾浜「やだよ」

鉢屋「いいじゃないか、お前は慣れてるだろ！？」

尾浜「慣れたくて慣れてるわけじゃないからな」

鉢屋「頼む！今度おごるから！！」

尾浜「……どんだけ嫌がるんだよ……まあいいや、じゃあ明日のＡランチね」

鉢屋「わかった」

久々知「……目の前でそういうやり取りするなよ……」

尾浜「悪かったよ。お詫びに三郎が名前のときめき動作を──」

久々知「やったら殴る」

鉢屋「殴れないくせに、痛っだ！？」

（殴られた頭を押さえ）

鉢屋「こら兵助！！」

久々知「やろうとした時点で殴る」

鉢屋「殴ってから言うな馬鹿！！」

尾浜「兵助、気が済んだら具体例あげて」

鉢屋「……なんて薄情な男だ……」

尾浜「なにを今更」

久々知「具体例か…………上目遣い」

尾浜「ああ、女の子のそれ可愛いよね。あざといのは勘弁だけど」

鉢屋「おい勘右衛門の好みは聞いてないぞ」

尾浜「気を紛らわせてんだよ」

鉢屋「……それが秘訣なのか？」

尾浜「まあね。それから？」

久々知「照れてるとき。慌てて必死に誤魔化そうとしてるときも可愛い。拗ねたり、笑ったり…表情はもちろんだけど、俺の装束を握ってきたりするのも可愛いな。抱き締めたときに力を抜いた瞬間とか、額を押し付けてくるのとか、手を握ると握り返してくれたり、嬉しそうにしてくれるのもいいし……」

（黙り込む久々知を横目に鉢屋を振り返り）

尾浜「……どう三郎、こんなもんで」

鉢屋「充分だろうよ」

久々知「勘右衛門、」

尾浜「はいはい、いってらっしゃい。気をつけてな」

久々知「ああ」

（ひらひら手を振って見送り）

鉢屋「名前のところか」

尾浜「だろうね。三郎、明日のランチじゃなくてしょっぱいものに変更したいんだけど」

鉢屋「いいぞ。私も付き合う」





面と向かっては聞きたくない鉢屋氏