兵助くん/自覚してからやたら行動が速かったですが(笑)最初の感情との差について自分ではどう思いますか?畳む
久々知「三郎か…」
鉢屋「なんだその不満そうな顔は!お前、自分の気持ちを最初に打ち明けたのが私だと忘れたわけじゃないだろうな」
久々知「そういえばそうだった」
鉢屋「薄情者め……まぁいい。“自覚してからやたら行動が速かったですが、最初の感情との差について自分ではどう思いますか?”──見ろ、つっこまれてるぞ」
久々知「そうだな。即動いたのは事実だし……でも俺、今思えばあのときの…三郎次の一言って最後の一押しみたいなものじゃないかって思うんだ」
鉢屋「何を言ってるんだ…」
(怪訝そうな顔をする鉢屋に笑って)
久々知「名前への気持ちが風船みたいなものだとして、知らないうちに空気が入ってって…いつのまにか許容量いっぱいでさ──」
鉢屋「池田三郎次の一押しで破裂したって?」
久々知「そう。空気じゃなくて水でもいいな。こぼれたら戻せない」
鉢屋「で?」
久々知「今も溢れっぱなしってこと」
鉢屋「兵助…私はノロケを聞きにきたわけじゃないんだが。質問に答えてないだろ」
久々知「なんだっけ?」
鉢屋「最初の感情との差についてだ!」
久々知「ああ…別人みたいだなって思うよ」
鉢屋「自分でか」
久々知「うん。思わないか?」
鉢屋「…私に振るなよ……だが私に言わせれば、お前は最初から割と名前贔屓だったぞ」
久々知「そうか?」
鉢屋「今ほど目を光らせてはいなかったけどな」
久々知「へえ…」
鉢屋「なんだ」
久々知「いや…、三郎からそういう話が聞けると思ってなかったから驚いた」
鉢屋「ふん、周りの方がよく見えるものもあるさ」
久々知「よく見てるんだな」
鉢屋「当然だ、変装名人だからな!」
答24.久々知
849文字 / 2011.07.19up
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