5年生へ/主人公が疲れていたり、人知れず悩みを抱えていたらどんな風に慰めますか?畳む
黒木・乱太郎「「こんにちはー」」
鉢屋「庄左ヱ門に、乱太郎…と、それは…」
(よいしょ、と骨格標本を運び入れる乱太郎)
乱太郎「伊作先輩のコーちゃんです。先輩から借りてきました」
不破「うん…で、なんでくのたまの制服着てるの?」
黒木「それはですね、こちらです。“苗字先輩が疲れていたり、人知れず悩みを抱えていたらどんな風に慰めますか?”ということで、こちらのコーちゃんを」
久々知「…………まさか、名前に見立てろっていうのか」
尾浜「こんな骨になるまで悩まなくても…って嘆くのはあり?」
黒木「なしです」
尾浜「庄左ヱ門冷たいな!」
竹谷「さすがにこれを名前としてって…キツイんじゃないか」
黒木「だめですか…ごめんね乱太郎」
乱太郎「どうして謝るのさ。それより使わないなら早く脱がさないとコーちゃんの臭いがついちゃうかも」
不破「僕も手伝うよ。ん、庄左ヱ門この制服って……」
黒木「あ、苗字先輩のです。雰囲気でるかなと思って」
鉢屋「よく貸したな…」
黒木「汚したり破いたりしないなら、って条件で貸してもらったんです」
尾浜「名前は一年に甘いからなぁ」
竹谷「兵助、パクろうなんて思うなよ」
久々知「するわけないだろ…」
尾浜「まぁそれはそれとして、名前をどうやって慰めるかだったよね。どう八」
竹谷「いきなり俺かよ!…………兵助に任せる」
尾浜「八左ヱ門ってつーめたーい!っていうか普通に考えてなしだろそれは」
鉢屋「だからモテないんだお前は」
竹谷「なんッだよ、じゃあお前らはどうなんだ!!」
(尾浜と鉢屋を交互に指差し)
鉢屋「気づかなかったことにする」
竹谷「似たようなもんじゃねぇか」
鉢屋「名前は私に慰められても喜ばないだろ。むしろ余計疲れる、放っておけって切れるのが落ちだ」
久々知「それは三郎が名前の神経を逆撫でするからだろう」
鉢屋「なら普通に慰めていいのか?兵助にも言えないなら聞いてやるから言ってみろ、と傍にいていいのか」
久々知「……お前はどうしてそう、」
尾浜「まぁまぁ。とりあえず八はやり直し」
竹谷「あー……えー……飼育小屋まで引っ張ってって、犬の群れにつっこませる。で、もみくちゃになって気が済んだ辺りでまた様子を見てみる…かな。言いたくなったら言うだろうし、すっきりするかもしれねぇし……名前はあんまそういうとこ見せねぇから、これくらいしか思いつかないぞ」
尾浜「八はアニマルセラピーを使う、と。三郎は“傍にいる”だったよね」
鉢屋「私から特に働きかけたりはしないからな」
尾浜「わかったわかった」
(庄左ヱ門のメモに代わりに書きつけ)
尾浜「雷蔵はどう?」
不破「あ、もう僕の番?」
(一年二人と一緒にコーちゃんに六年の装束を着せている最中)
尾浜「おれが先でもいいよー」
鉢屋「兵助は最後か」
尾浜「そのほうがいいかなって」
久々知「変なプレッシャーかけないでくれ…」
尾浜「おれは“話を聞いてあげる”、かな。っていうかそれとなーく言えるように誘導するかも。名前ってけっこうポロッとこぼすこと多いしさ、それをこっちから拾って繋げてつきつける」
竹谷「おい最後なんだ」
尾浜「いや、逃げ場なくしちゃえば吐き出すしかないじゃん」
久々知「聞いてあげるというか、尋問みたいだな…」
尾浜「あは、近いかもね。雷蔵の番だよ」
不破「わかった。はい、これ名前の制服。ちゃんと返すんだよ」
一年「「ありがとうございます不破先輩」」
黒木「尾浜先輩もすみません、代わっていただいて」
尾浜「いいっていいって」
不破「うーん…そうだなぁ…誰かと被ってると思うけど、名前が話し出すのを待つかな。お茶とお菓子を用意してさ、“僕でよければ聞くから、話したくなったら話して”って。それとも名前には独り言でもいいよ、って言ったほうが効果的なのかな」
鉢屋「根気要りそうだな」
不破「そう?雑談したり本読んでればすぐだよ」
黒木「では久々知先輩お願いします」
久々知「…………普通に、抱き締める」
竹谷「それ普通じゃねぇから」
尾浜「すっごく親しくないと無理だから」
久々知「俺にとっては普通なんだよ。名前が話し出すまでそうしてるっていうのもありだし、話してほしいけど…………」
黒木「久々知先輩?」
久々知「名前が話さないままでも、追求はしないかもしれない。ただ、名前の言って欲しい言葉くらいは、言ってやりたいけど」
鉢屋「兵助も辛抱系ってわけか」
乱太郎「ねえ庄ちゃん」
黒木「ん?」
乱太郎「久々知先輩たちって苗字先輩がすっごく大切なんだね」
黒木「うん、そうだね。それに、コーちゃんじゃ駄目って言われたのもわかったよ」
乱太郎「ぎゅーってしても痛いだけだもんねぇ……」
答22.五年
2122文字 / 2011.07.19up
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