カラクリピエロ

大鐘堂騎士隊員による手記 p.07


▼No.18
呼ぶまで待機とのことだったので、ありがたく休憩をとることにした。

隊長と雑談していたところに難しい顔をしたクロアが来た。
隊長に促され、約束の丘まで一緒に行った。
このまま大鐘堂でクローシェ様を護るか、神聖政府軍についたルカ(ぼくはここで驚いたけど黙っていた)を護るかで悩んでいると呟くように言っていた。

ぼくは総統のためにここにいるようなものだし、御子クローシェの側にいた時間も長い。
ぼくにとって神聖政府軍を選ぶ可能性は無いばかりかマイナスで、下手したらクロアの決断を邪魔する。
そう思ったら黙っているしかなかった。
クロアも答えを期待している様子はなかったから、それでよかったんだと思う。

本音を言えば残って欲しいけれど、それはぼくの勝手な希望だから内緒だ。



▼No.19
クローシェ様の給仕をした。
聖誕祭以来あまり元気がないのが気になる。

ぼくの仕事は護衛のはずだけど、時々こうしてお茶に付き合っている。
わざわざぼくを呼ぶときはかなり沈んでいるときだ。
…これに気づいたのは最近だけど。

そうやって落ち込んでいるときでも、クローシェ様は絶対に泣き言を言わない。
ぼくも、そんなクローシェ様には何も聞かない。他愛ない話をするだけだ。


今日のクローシェ様は一段とぼんやりして、思い出話をしてくれた。
なんでも勉強を抜け出した際に騎士隊の訓練に遭遇し、怪我した騎士の手当てをしたときの話だそうだ。
どうしていきなりそんな話をするのかと思っていたけれど、聞いているうちに相手がわかってしまった。

クロアですか、と聞いたときのクローシェ様は、とても御子とは思えないような見事なうろたえぶりだった。



▼No.20
ココナと話をした。
クロアはまだ悩んでいるらしい。
ココナもぼくと同じように、クロアに決断を任せることにしたそうだ。
どっちにつくとしても、クロアがいればそれでいいと言い切るココナはかっこいいと思った。

そんな風に言ってもらえるクロアもすごいと思う。
少し羨ましい。

不意打ちでぼくの意見を聞かれてガラにもなく慌ててしまった。
うまく誤魔化せただろうか。



▼No.21
武器の調子が悪いので、シンシアのところへ行った。
シンシアは相変わらず元気いっぱいでテンションが高い。
けど、シンシアとのやりとりは意外と楽しいから好きだ。

新しい武器にどうかな、と見せてもらった設計図は、どうみてもトランプカードだった。
意味がわからない。
どこかで妙な知識でも取り入れたんだろうか。

次に行くころまでに試作品ができるそうだ。
作って欲しいと言っただろうか…記憶にない。

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