カラクリピエロ

PHASE.-


――ガクン、と機体が大きく揺れる。



「…いきなり攻撃なんて過激すぎない?」
「知らないよ!ココナだってジャクリさんに言われた通り…きゃあ!」


機内の機械音声は“危険”を絶え間なく発しているが、どこを弄っても改善の兆しは見られず、ぼくたちにはどうすることもできなかった。

まっ逆さまに落ちながら、せめてもの抵抗として、ぼくはココナとさーしゃの頭を押さえ込んだ。









次に気付いたのは殺風景な景色。
岩肌の露出した大地だった。

身体中痛くて、息が詰まる。
それよりも、視界に入った身動き一つしない二人に血の気が引いた。


「ココナ…、さーしゃ!…だ…誰、か……誰か、いないのか!?」


声を絞り出しながら二人に近づく。
誰でもいい、二人を助けてくれるなら神でも悪魔でも…この際魔物だって構わない。


ナマエ、さん…お怪我、……ありません、か?」
「さーしゃ!…ばか…こんなときまで、人の心配して…」


しゃべらなくていい、と言いおいて意識が戻らないココナに声をかける。


「ココナ…ココナ……!」


――起きてくれ。
祈るように一回り小さな手を握る。

こんなとき、自分がレーヴァテイルだったらと思わずにいられない。
別世界でも詩魔法が使えるのか、専門じゃない自分にはわからないけれど。
いつも癒しを与えてくれていた彼女らを思い出しながら、ココナの名を呼び続ける。


何度目かの呼びかけでピクリと反応を返してくれて、ぼくは心底ホッとした。


「…、い、たい……」
「ココナ!」
「……ナマエ……?」
「よかった…待ってて、すぐ、戻る」


無謀にも起き上がろうとしていたさーしゃを止めて、ココナと一緒に待つように言う。
素早く周囲を伺って、危険なものはないと――不安ながらも判断し、二人から離れる。

いつもより何倍も鈍い動きをする手足を無理矢理動かして、人の気配がする方へ向かった。





早く、早く、誰でもいいから…





「おや、これは……ゲンガイ様!」
「どうしたルーファン、見つかったか?」
「ええ、丁度あちらから来てくれたようです」


ようやく遭遇できた人影に一瞬敵かと身構えたけれど、まずは二人を助けるのが最優先だ。



「頼む、助けてくれないか…!」

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